
人気の熱帯魚、ベタ!「狭い場所で生きられる」は嘘?その生態やいかに!
観賞魚として水族館やペットショップで見かけるベタ。美しい姿やケンカしやすいことは有名ですが、本当の生態はまだまだ知られていません。 本記事ではベタの生態について詳しく解説し、ベタのことがもっと好きにな…
2025.09.10
投稿日:2025.09.10 更新日:2025.09.10
皆さんはウニの仲間「ガンガゼ」をご存じでしょうか? 食用の「ムラサキウニ」に似ていますが、ガンガゼのトゲには毒があります。うっかり触ってけがをすると、海水浴やダイビングなどの楽しいイベントが台無しに……。
そこで今回は、ガンガゼとムラサキウニの違い・見分け方を徹底解説します! 万が一トゲが刺さった場合の応急処置もご紹介するので、海へお出かけする前にチェックしておきましょう♪
目次
まずはガンガゼの基本情報から見ていきましょう。
分類 | ガンガゼ目ガンガゼ科 |
学名 | Diadema setosum |
英名 | Long-spined urchin |
大きさ | 殻:約5~9cm、トゲ:約20~30cm |
生息地域 | 太平洋側は房総半島以南、日本海側は能登半島以南 |
ガンガゼはウニの仲間で、ガンガゼ目ガンガゼ科に分類されています。
英名にある「Long-spined」は「長いトゲのある」という意味です。「urchin」は「ウニ」を意味する言葉ですが、「いたずらっ子」を指すときにも使われる多義語です。ウニは漁場を荒らす存在として知られていたため、同じ言葉が使われています。
ガンガゼの殻の直径は約5~9cm。それに対してトゲが約20~30cmと著しく長く、見るからに危険な見た目をしています。いたずらっ子どころではありません!
殻は紫がかった黒色で、てっぺんに肛門が1つあり、その周りに白や青の小さい点々模様が付いています。ガンガゼの肛門は球状に膨らんでいて、穴の周囲が黄色くなっているためよく目立ちます。目玉がギロリとこちらを見ているようで怖いですね……。
ガンガゼのトゲは細くて鋭く、少し触れただけで刺さってしまうのが特徴です。皮膚に刺さると患部が炎症し、ひどい場合はまひや発熱、呼吸困難を起こすことがあります。ウェットスーツの上からも貫通することがあるため、うっかり触ったり踏んだりしないように十分注意しましょう。
続いて、ムラサキウニの基本情報を見ていきましょう。
分類 | ホンウニ目ナガウニ科 |
学名 | Anthocidaris crassispina |
英名 | Purple sea urchin |
大きさ | 殻:約5~6cm、トゲ:約1~4cm |
生息地域 | 太平洋側は茨城県以南、日本海側は青森県以南 |
ムラサキウニはホンウニ目ナガウニ科に分類されるウニの仲間です。日本でよく食べられているウニの一種で、キタムラサキウニやバフンウニなどと並ぶ代表的な食用ウニです。
ムラサキウニの殻は約5~6cm、トゲは約1~4cmとやや小ぶり。名前の通り紫がかった黒色で、トゲが太く短く、表面がツヤツヤとしているのが特徴です。
ムラサキウニにも肛門はありますが、あまり目立たず、全体的に黒っぽい見た目をしています。
ムラサキウニのトゲには毒がなく、太くて丸みがある形状をしています。手でそっと触れたくらいではトゲが刺さることはほとんどありませんが、気が付かずに勢いよく踏んだり触ったりするとトゲが刺さり、鋭い痛みを感じます。
ガンガゼとムラサキウニの基本情報を押さえたら、今度は見分け方を見ていきましょう。
以下にそれぞれの特徴をまとめました。
ガンガゼ | ムラサキウニ | |
生息地 | ・太平洋側は房総半島以南、日本海側は能登半島以南 ・静穏域を好み、水深10m ほどの岩礁や、大礫から中礫の大きな生息空間にある転石域に多く生息している |
・太平洋側は茨城県以南、日本海側は青森県以南 ・岩穴や溝、消波ブロックの間などに多く生息する ・季節により岩の表面に出ていることもある |
見た目 | ・紫がかった黒色で、黄色の肛門が目立つ ・トゲが著しく長く、細くて先端が鋭い |
・紫がかった黒色で、肛門が目立たない ・トゲは短く、太くて先端に丸みがある |
毒性 | ・有り | ・無し |
トゲの特徴と刺さったときの症状 | ・軽く触れただけでトゲが刺さる ・刺さると鋭い痛みを伴い、症状が長く続く |
・軽く触れたくらいではトゲは刺さりにくい ・刺さると鋭い痛みを伴う |
ガンガゼはどちらかといえば日本の南側に生息しており、波浪の影響が少ない水深10mほどの岩の周りに生息しています。ダイビングで見かけることがあるかもしれませんが、大きめのウニだと思って触れてしまわないように要注意です! 先述しましたが、ガンガゼのトゲはウェットスーツやグローブを貫通します。触らずに遠くから見守りましょう。
万が一、ガンガゼやムラサキウニのトゲが刺さったら、応急処置を施しましょう。どちらのトゲが刺さったかにより処置方法が少し異なるため、以下でそれぞれ解説します。
ガンガゼのトゲが刺さったら、以下の応急処置を施し、病院を受診しましょう。
ガンガゼのトゲは折れやすく、皮膚に刺さった場合、皮膚の中で折れてしまって表面上にトゲが出ず、抜き取りにくい傾向にあります。また傷口に抗生物質の塗り薬などを塗る必要もあるため、応急処置をしたら病院で検査・治療を受けましょう。
ムラサキウニのトゲが刺さったら、以下の方法で応急処置を施し、痛みがひどい場合は病院を受診しましょう。
ムラサキウニのトゲに毒性はないものの、刺さると痛みを伴います。また、傷口が炎症を起こす可能性もあり、トゲが深く刺さっていたり、痛みが続いたりする場合は無理せず病院を受診しましょう。
ムラサキウニは日本でよく食べられていますが、果たしてガンガゼは食べられるのでしょうか?
その答えは……食べられます!
ガンガゼはトゲに毒性があるだけで中身には毒がないため、食べることは可能です。九州の一部地域では食用とされていて、ムラサキウニに比べるとあっさりとした味わいなのだとか。
また愛媛県愛南町の水産課と愛媛大学は、ブロッコリーや特産物の河内晩柑(かわちばんかん)をガンガゼに与えると、えぐみが和らぐことを発見。試験的に食用として県内の飲食店へ出荷しています。
なお、ガンガゼは一般的には食用ではなく、イシダイという魚の餌として使われています。イシダイはガンガゼが大好物で、トゲをくわえてひっくり返し、底面から殻ごと食べるのだとか……。ガンガゼも恐ろしいですが、イシダイもツワモノのようです。
ガンガゼを大きめのムラサキウニだと勘違いしてうっかり触ると、大変危険です。またムラサキウニであってもトゲが刺さると痛みを伴うので、見かけても遠くからそっと見守るのが安全でしょう。
海のレジャーを楽しむ際は、今回ご紹介したガンガゼとムラサキウニの見分け方を頭に入れて、安全に楽しんでくださいね!
なお、以下の記事でも海の危険な生き物をご紹介しています。併せてチェックしてみてください。
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