いきものAZ コラム企画『いきものがたり』シャークジャーナリスト 沼口麻子
※こちらは過去に【いきものAZ】内で公開されたコラムです。 いきもののスペシャリストに、いきものについてのコラムを書いていただく本企画。 11月27日は、「世界サメの日 (World Shark Da…
2022.07.04
投稿日:2022.07.04 更新日:2023.03.15
眺めていると時間がゆっくり過ぎていくような、頭がぼんやりするような……そんな不思議な感覚になる海の生き物と言えば、そう、クラゲ。
水族館で見たことがある方も多いかと思いますが、クラゲって見ているとリラックスできますよね。クラゲを見ていたらあっという間に時間が過ぎていた、なんていう方もいらっしゃるのではないでしょうか。
今回はそんな私たちに癒しを与えてくれるクラゲの、知っているようで知らなかった生態に迫っていきます!
またサンシャイン水族館では2022年6月17日~7月10日の間、「サンシャイン水族館 いきもの研究室」の第1弾として、飼育スタッフならではの視点でクラゲの魅力を発信します。
イベントの詳細についてもご紹介しているので、ぜひ最後まで読み進めてみてくださいね。
目次
クラゲとは、一般的には刺胞動物門に属する生き物のうち、淡水または海水中に生息して浮遊生活をする種の総称です。
体はゼラチン質で柔らかく、透明の種が多く、体の約95%が水分でできています。
形状としては傘のような形をしている種が大半で、傘の下面の中心部に口があることが一般的。
化石が発見されているだけでも5億年、学説では10億年前からほとんど姿を変えずに地球上に存在していたとも言われている、なんともロマンのある生き物です。
そんなクラゲですが、実は考えて行動するための脳がありません。
むしろ脳が無く何も考えずに生きてきたからこそ、ここまでの歴史を刻めたのかも……?
「脳が無い生き物なんて珍しい!」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、他の海の生き物を例に挙げると、ウニやヒトデ、イソギンチャク、サンゴなどの生き物にも脳が無いため、実は「びっくりするほど珍しい」というわけでもないんです。
脳が無いということは、体を動かすための司令塔が無いということ。
では、クラゲはどうやって動いているのでしょうか?
実はクラゲには、脳が無い代わりに体中に「散在神経」と呼ばれるものが張り巡らされているんです。
この散在神経によって、水流や何か物に当たった時などに反射的に動いています。
例えば、私たち人間は熱々の鉄板に手が触れてしまった時、いちいち「熱いから手を離そう」と考えず反射的に素早く手を離しますよね。
人間の反射行動と同じように、クラゲの行動は全て反射によって起こっているものなんです。
クラゲには脳が無いだけではなく、心臓や血管も存在しません。
このような体の構造でどうやって全身に栄養を送っているのか、不思議ですよね。
実は、クラゲの体には血管の代わりに「水管」と呼ばれる管が通っており、水管によって体中に栄養分が運ばれる仕組みになっています。
また人間であれば心臓がポンプの役割を果たしますが、クラゲの場合、ポンプはクラゲ自体。
傘をふわふわと開閉させて体を動かすことによって、全身に栄養を送っているんです。
クラゲをパッと見ると傘から触手が生えているだけの単純な生き物に見えますが、クラゲには目があります!
これを知った時、それこそ単純な担当は「何かのキャラクターみたいに傘の表面に2つ目がついているのかな?」と思ったのですが、そもそも目の数から違いました。
目がついている場所は傘の表面ではなく縁で、多くの種は16個程度の目がついており、箱クラゲと呼ばれる種は約24個もの目がついているそうです!
ただ、クラゲの目は私たち人間の目と違って映像を映すことは無く、光を感じる程度の器官なんだとか。
脳や心臓が無いのだから、目なんて到底無さそうなクラゲですが、実は光を察知する程度の目をたくさん持っていたんですね。
ちなみに、クラゲといえばその「毒」が有名ですよね。
クラゲの触手には毒針である刺胞がずらっと並んでいます。獲物が触れるなどの刺激を受けると触手から毒針が発射されて獲物に突き刺さり、毒が注入されるといった仕組みです。
クラゲはこの毒で獲物を動けない状態にし、口に運んで食べます。
クラゲの毒の正体は、実はタンパク質でできた「タンパク質毒」で、その毒性は溶血性や神経性などさまざま。
しかし、クラゲが持つ毒は非常に不安定で多くの物質が混合されており、目的の物質だけを抽出することはかなり困難であるため、クラゲの毒素についての詳しい研究はまだそれほど進んでいないそうです。
クラゲの毒の強さは種によってばらつきがあり、刺された際にかゆみを感じる程度で済む種もいれば、刺された人間が数分で死に至ってしまうほどの猛毒を持つ種もいます。
日本でよく被害の報告が挙がるクラゲは、アンドンクラゲ、カツオノエボシ、アカクラゲなど。
いずれも刺されるとアナフィラキシーショックなどを起こしてしまう場合があるため、クラゲには触らない、近づかないということを徹底したほうが良いでしょう。
サンシャイン水族館では2022年6月17日~9月25日の間、飼育スタッフならではの視点で生き物の魅力を紹介する「サンシャイン水族館 いきもの研究室」を開催!
期間を3つに分けて3種類の生き物を紹介していくのですが、第1弾(6月17日~7月10日)では「クラゲ」をピックアップ!
第1弾の期間中はクラゲに特化した内容のバックヤードツアー「マニアックツアー」を通して、水族館の裏側を見学しながら生き物についての知識を深めることができます。
今回の記事でご紹介したクラゲの体の構造や毒についてはもちろん、知る人ぞ知る驚きの生態についてもご紹介!
「マニアックツアー」は2022年6月25日(土)、7月9日(土)11時~、先着順で定員15名となっているため、参加希望の方はお早めにサンシャイン水族館へお越しください!
開催期間 | 2022年6月17日(金)~7月10日(日) |
営業時間 | 9:30~21:00 ※最終入場は20:00まで |
会場 | サンシャイン水族館 本館 東京都豊島区東池袋3-1 サンシャインシティ ワールドインポートマートビル 屋上 |
無料
※別途水族館の入場料が必要です。
※一部有料となります。
大人(高校生以上) | 2,400円~ ※時期によりチケット料金が変動いたします。 |
こども(小・中学生) | 1,200円 |
幼児(4才以上) | 700円 |
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