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2021.02.02
投稿日:2021.02.02 更新日:2022.03.10
つぶらな瞳といつも笑っているような口元、フサフサとしたピンク色の外鰓(えら)が愛らしいウーパールーパー。カエルやサンショウウオと同じく両生類の一種で、別名は「アホロートル」とともいいます。
幼生の姿のまま成体になる「幼形成熟(ネオテニー)」で、そのほとんどは、生涯を水中で過ごします。
今回は、特徴的な顔を持つウーパールーパーについて、その実態について調べてみました。日本で流通している品種や驚異の再生能力、メキシコにおける野生のウーパールーパーの現状など、詳しくご紹介いたします。
目次
ウーパールーパーは、両生綱有尾目トラフサンショウウオ科トラフサンショウウオ属に分類される有尾類です。日本では、80年代、テレビCMに登場したことで一大ブームを巻き起こしました。実は、ウーパールーパーという名前は流通名です。正式名称は「アホロートル」で、「メキシコサラマンダー」とも呼ばれています。
両生類のほとんどは、幼生のうちは鰓(えら)呼吸ですが、成長して変態を遂げると外鰓を失い、肺呼吸へと切り替わります。
一方、ウーパールーパーは幼生の姿を残したまま成長する「幼形成熟(ネオテニー)」です。ウーパールーパーの特徴でもあるあのフサフサとした外鰓は、幼体のまま成長した証なんですね。
ウーパールーパーといえば、笑っているような口元と、ほのかにピンクがかった白い体が特徴ですが、実はこのピンク色のウーパールーパー、さまざまな品種改良によって生まれたもの。野生のウーパールーパーは、本来黒っぽい色をしています。
一般的に流通しているウーパールーパーは、次の5種類です。
リューシスティック:体がピンクがかった白で目が黒い。一番メジャーのタイプ
アルビノ:体がピンクがかった白で目が赤いタイプ
ゴールデン:全身が黄色いタイプ
マーブル:全身に黒褐色の斑点があるタイプ
ブラック:全身が黒のタイプ
ウーパールーパーは、イモリの尻尾や、どれだけ細かく切り刻まれても復活するプラナリアのように、非常に高い再生能力を持っています。手足を失っても、軽いもので7日程度、ひどい損傷でも40日程度で再生します。
また、再生可能なのは手足だけではありません。心臓や脊髄などの臓器や、目の水晶体まで再生できるのです。
ペットとして飼育しているウーパールーパーは、何かの拍子にパニックを起こして水槽や岩などに激突したり、多頭飼いの場合は、ほかの個体に噛みつかれたりして、ケガをしてしまう場合があります。
再生能力を促すためには、人工飼料を与えましょう。
ウーパールーパーは一般的に、幼体のまま成長・繁殖する生物です。幼体は鰓呼吸であるため、生涯を水中で過ごします。
両生類が変態するためには、サイロキシン(T4)という甲状腺ホルモンの一種が必要です。しかし、野生のウーパールーパーはサイロキシンを体内で生成できないため、基本的には変態しません。
しかし、飼育下にいるウーパールーパーであれば、
● 甲状腺ホルモンを注射して人工的に投与する
● 陸に少しずつ慣れさせ、肺呼吸を促す
という2つの条件を満たすことで、変態することが判明しています。
また、水質環境の悪化によって、陸上で生活するようになるケースもあるようです。
変態し、陸生化したウーパールーパーは、サンショウウオのような見た目に変化し、通常10年以上ある寿命が3〜5年に縮まってしまいます。
原産地であるメキシコのソチミルコ湖では、野生のウーパールーパーが絶滅の危機に扮しています。
● 都市化による生息地の減少
● メキシコ市からの排水による水質悪化
● 人為的に持ち込まれた外来種による食害
といった原因により、個体数は年々激減。絶滅危惧IA類(CR)に指定されている2006年現在で、わずか100匹程度しか生存していないといわれています。
メキシコではウーパールーパーを保護動物に指定し、生息地の保護や環境の復元、野生の個体数を増やすといった活動を行っています。
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