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2026.06.25
投稿日:2026.06.25 更新日:2026.06.25

トビウオは、水面から勢いよく飛び出し、まるで鳥のように空中を飛ぶ不思議な魚です。映像やフェリーの上から、その姿を見たことがある方もいるでしょう。
トビウオが魚でありながら空中を飛べる理由は、特別に進化した体の構造に隠されているようです。
今回は、空中を飛ぶトビウオの驚きの生態に迫ります!
目次

空中を勢いよく飛ぶトビウオですが、一体どのような魚なのでしょうか。まずは基本情報から見ていきましょう。
| 分類 | ダツ目 トビウオ科 |
| 学名 | Cypselurus |
| 標準和名 | トビウオ |
| 英名 | Flying fish |
| 分布 | 太平洋、大西洋、インド洋など世界中の温暖な海域 |
| 体長 | 20~40cm |
| 寿命 | 1年~3年 |
| 見た目 |
|
トビウオは世界中の温暖な海域に生息し、世界で約50種以上、日本近海だけでも30種前後が確認されています。
見た目の特徴は、何といっても翼のような大きなヒレです。胸ビレが体長の半分以上になる種類もおり、海の中を泳いでいても存在感があります。
また体は細長い流線形をしており、水や空気の抵抗を受けにくい構造になっています。こうした体の特徴が、後ほど紹介する高い滑空能力につながっているのです。
トビウオの主食は海中を漂う動物プランクトンや小型の甲殻類です。海面付近を泳ぎながら獲物を探し、素早く丸飲みにして捕食します。
プランクトンが豊富な海域はトビウオにとって重要な生息地域なのです。
トビウオは日本全国で親しまれていますが、地域によって呼び名が異なります。
九州地方や日本海側では「アゴ」と呼ばれることが多く、焼いて乾燥させた「あご出汁」は高級出汁として有名です。名前の由来には「あごが落ちるほどおいしいから」「硬いので食べる際にあごをよく使う必要があるから」など諸説あります。
また、鹿児島県の種子島や屋久島では「トッピー」という愛称で知られています。高速船の名称にも使われており、地域に根付いた存在です。
トビウオの産卵期は初夏から秋頃で、主に海藻や流木などに卵を産み付けます。
トビウオの卵には「纏絡糸(てんらくし)」と呼ばれる細い糸が付いています。この糸が海藻などに絡み付くことで、波に流されにくくなる仕組みです。
実は、お寿司屋さんなどで見かける「とびっこ(とびこ)」の正体は、トビウオの卵です。鮮やかなオレンジ色と、プチプチとした食感で人気がありますよね。

トビウオが空中を飛ぶ主な理由は、天敵から逃げるためです。海の中では、マグロやカツオ、シイラなどの大型回遊魚がトビウオを狙っています。
そこでトビウオは、水面から勢いよく飛び出し、空中を飛ぶことで敵から姿をくらませようとします。魚でありながら空中を利用して身を守る、とてもユニークな生存戦略なのです。
また船が接近した際や大きな音に驚いた際、体に付いた寄生虫を振り落とそうとする際にも空中を飛ぶことがあるようです。

トビウオが長距離を飛べるのは、飛行に適した特別な体を持っているからです。大きく発達したヒレや軽量な体の構造など、複数の特徴が組み合わさることで、魚とは思えない飛行能力を実現しています。
ここからは、トビウオが空中を飛ぶ仕組みを徹底解剖します!
トビウオは鳥のように羽ばたいて飛んでいるわけではありません。実際には、グライダーのように空中を滑空しています。
まず水中で尾ビレを高速で振り続け、一気に加速します。そして十分な勢いが付いたところで海面から飛び出し、大きく発達した胸ビレを広げて風を受けながら進むのです。
また滑空中はヒレの角度や体勢を調整しながら進路を変えることも可能です。必要に応じて尾ビレで再び水面を叩き、再加速することもあります。
実は、トビウオには胃がありません。これは体を軽くするために進化した特徴の一つと考えられており、ちょうど鳥類が空を飛ぶために体を軽量化しているのと似ています。
先述した通り、トビウオの主食は動物性プランクトンや小型の甲殻類です。食べた物は腸で効率よく消化され、体の中に長くため込まれないため、体重の増加を抑えやすいのではないかと考えられています。
大きなヒレや細長い流線形の体と同じく、飛行能力を支える特徴の一つといえるでしょう。
トビウオの飛行能力は、数値で見るとそのすごさが分かります。一般的に、海面上2mほどのところで飛距離50~300mほど飛びますが、条件がそろうと400m以上滑空することもあるようです。
また、速度は時速50~70km前後になるといわれています。車で同じ速度を出すとしても、なかなかのスピードですよね。
風向きや海面の状態によっても変わりますが、魚類の中でもトップクラスの飛行能力を持つことは間違いないでしょう。
なお、トビウオの最長飛行時間は45秒とされており、ギネス世界記録にも認定されています。何とこの記録は日本のテレビクルーが2008年に樹立したもので、鹿児島県の口永良部島から屋久島に向かうフェリーで撮影した映像が基となったそうです。トビウオの力強さが伝わってきます!
※参考:Guinness World Records.「Longest flight by a flyingfish (duration)」.(参照2026-06-09).

トビウオは観察して楽しいだけではなく、食材としても古くから親しまれてきました。
地域や種類によって違いはありますが、旬は初夏から秋頃とされています。この時期のトビウオは脂がのっており、刺身や塩焼きで食べられることが多いでしょう。
また、トビウオを炭火で焼いてから天日干しした「焼きあご」は高級出汁の原料として有名で、上品なうま味と香ばしさが特徴です。九州や山陰地方では昔から利用されており、ラーメンやうどん、雑煮などにも活用されています。
先述したように、トビウオの卵は「とびっこ(とびこ)」として利用されるなど、トビウオは体のさまざまな部分が食材になります。日本の食文化を支える魚でもあるのですね。

「実際にトビウオを見てみたい!」と思った方もいるかもしれません。野生のトビウオは海上で観察できる可能性があります。
特にフェリーや観光船に乗っていると、船の接近や波に驚いて海面から飛び出す姿を見られることがあります。暖かい海域では比較的遭遇しやすく、海面が穏やかな日は観察しやすいでしょう。
九州や伊豆諸島、屋久島周辺の海域で多くの目撃例が報告されています。運が良ければ、群れで滑空する迫力ある姿を目にできるかもしれません。水の上を勢いよく飛ぶ様子は、迫力のある光景です。
これだけ特徴的な魚なら、水族館で見てみたいと思いますよね。しかし、実はトビウオを展示している水族館はあまり多くありません。
その理由の一つは、トビウオの音や光に敏感な生態にあります。驚くと勢いよく飛び出してしまい、水槽の壁や天井にぶつかる危険性があります。
また野生では広い海を高速で移動するため、その生活スタイルを飼育環境で再現することは簡単ではありません。こうした理由から、飼育や展示の難易度は非常に高いとされています。展示されているトビウオに出会えたら、とても貴重な機会といえるでしょう。
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