作家さんに聞いてみた!⑥ 深海サーカス編
いきものグッズ専門ネットショップ「いきもーる」には、たくさんの個人作家さんたちのグッズがラインナップされています。 素敵ないきものグッズを生み出す作家さんたちは、一体、いきものに対してどれだけの愛を持…
2024.09.07
投稿日:2024.09.07 更新日:2024.09.07
夏は海水浴やシュノーケリング、ダイビングなど海のレジャーにもってこいの季節。海辺や海中でさまざまな生き物に出会えますが、触るのはちょっと待って! 華やかで美しい生き物や、水族館などで見慣れた親しみのある生き物の中には、毒を持つ危険なヤツもいるのです……。
そこで今回は、海で遭遇すると危険なヤツ(生き物)を5種類ご紹介します。海のレジャーへお出かけする方は、事前にチェックして安全に海を楽しんでください!
目次
【ミノカサゴの基本情報】
分類 | スズキ目フサカサゴ科 |
学名 | Pterois lunulata |
英名 | Luna lionfish |
大きさ | 約25~30cm |
生息地域 | 北海道南部から九州南部、伊豆・小笠原諸島、奄美群島などの沿岸部の岩礁、沖縄など |
ミノカサゴは、大きくて長いヒレをゆったりと揺らしながら優雅に泳ぐ姿が印象的な魚です。その特徴的なヒレが、わらを編んで作る蓑(みの)に似ていることから名付けられました。蓑とは、日本昔ばなしの笠地蔵でおじいさんが身に着けている雨具のこと……というと想像がつくでしょうか。
ミノカサゴの仲間はその華やかな見た目と優雅に泳ぐ様子から、シュノーケリングやダイビングの他、水族館でも人気の魚です。
ミノカサゴの背ビレ、胸ビレ、腹ビレ、臀ビレの全てが長く、ベージュやピンク、赤色の体に暗褐色の縞模様が付いています。この派手な柄には、外敵に対して自分が「危険なヤツ」であることを警告する役割があります。
ミノカサゴの大きくて長いヒレには毒のあるトゲを持ち、刺されると激痛が走る上、患部が腫れて痛みが長く続きます。また、痛みの他にも吐き気や頭痛、めまい、呼吸困難を起こす可能性もあるので、万が一刺されたら以下の方法で応急処置を施し、早めに病院を受診してください。
【ミノカサゴの仲間に刺された場合の応急処置】
1.患部にトゲが刺さっていたら抜き、毒を絞り出すように傷口周辺を圧迫して、真水でよく洗い流す
2.傷傷口を45~50度のお湯で毒を不活性化させる
3.抗生物質が配合された軟膏を塗って氷水で冷やす
4.病院を受診する
ミノカサゴは自ら危害を加えてくることはまれですが、うっかり触れてしまったり、刺激して怒らせたりしないように注意しましょう。
【ゴンズイの基本情報】
分類 | ナマズ目ゴンズイ科 |
学名 | Plotosus japonicus |
英名 | Japanese eel catfish |
大きさ | 約10~20cm |
生息地域 | 房総半島南端から九州南岸の太平洋沿岸、能登半島、九州西岸など |
ゴンズイはナマズの仲間で、ヌルヌルとした体にポツンとした目、大きくて分厚いたらこ唇がかわいらしい魚です。幼いゴンズイは群れで泳ぐ習性があり、巷ではこの群れのことを「ゴンズイ玉」と呼びます。みんなでワラワラと泳ぐ姿が愛らしく、水族館でも人気者です。
ゴンズイの体は茶色・こげ茶の体に、黄色いストライプ模様が入っています。こげ茶に黄色なんて、まるでハチみたい……。そうです、ゴンズイも警告色を身にまとい、毒を持っていることを外敵にアピールしている「危険なヤツ」なのです。背ビレと胸ビレのトゲに毒があり、ゴンズイ自体が死んでもトゲの毒性はなくなりません。
ゴンズイの名前の由来には諸説ありますが、その中の一つに「牛頭魚(ごずいお)」から名付けられたという説があります。牛頭とは頭が牛で体が人間の神のことです。ゴンズイのヒゲが牛の角のように見えること、またヒレに毒を持つ悪いヤツであることから名付けられたとか……。なお「魚(いお)」は昔の魚の呼び方です。
ナマズのような親しみやすい見た目からうっかり素手で触ってしまう人が多いので、気を付けましょう。釣り上げた後に、釣り糸から外そうとしてトゲが刺さってしまったり、群れで泳いでいるところに手で捕まえようとして刺されたりと、油断していてけがをするケースが多いです。
もしゴンズイに刺されてしまったら、以下の方法で応急処置をして、早めに病院を受診しましょう。
【ゴンズイに刺された場合の応急処置】
1.患部にトゲが刺さっている場合は、再び刺さらないように気を付けながら抜き取る
2.毒を絞り出すように傷口の周囲を圧迫して真水で洗い流すか、ポイズンリムーバーを使って傷口に入った毒を取り除く
3.45度以上のお湯に傷口を漬けて1時間ほど待ち、毒を中和させる
4.病院を受診する
先述した通り、ゴンズイが死んでもトゲの毒性は残るので、非常に危険です。
【スナイソギンチャクの基本情報】
分類 | イソギンチャク目ウメボシイソギンチャク科 |
学名 | Dofleinia armata |
大きさ | 体:約10cm、触手:約15~20cm |
生息地域 | 本州中部から九州の海、西部太平洋などの水深60mまでの砂底 |
スナイソギンチャクは、色彩豊かに海を彩る美しい海洋生物です。色彩変異が多いことで知られ、白や黄緑、ピンク、縞模様とその種類はさまざまです。砂底の小石などに足盤をくっ付けて体を固定し、48本(!)の触手を広げながら獲物を待ちます。サンゴの周りにクマノミがいるのと同じように、スナイソギンチャクの周りにも小さなエビがいることもあります。
スナイソギンチャクもご多分に漏れず、毒を持っている「危険なヤツ」です。海にゆらゆらと揺れている触手には、毒の入った刺胞という官があります。周りにエビがいるから大丈夫かなと油断して少しでも触れると、痛みを伴い、患部が腫れ上がります。
毒性が強い場合は痛みが全身に広がり、発熱することもあるので、以下の方法で応急処置を行いましょう。
【スナイソギンチャクに刺された場合の応急処置】
1.こすらずに海水で触手(刺胞)を洗い流す
2.腫れている部分を氷水で冷やす
3.病院を受診する
よくお酢やアルコールを使う方法が紹介されていますが、悪化する可能性があるため避けてください。またスナイソギンチャクは、大事を取って病院を受診することをおすすめします。
【ガンガゼの基本情報】
分類 | ガンガゼ目ガンガゼ科 |
学名 | Diadema setosum |
英名 | Long-spined urchin |
大きさ | 殻:約5~9cm、トゲ:約20~30cm |
生息地域 | 太平洋側の房総半島以南、日本海側の能登半島以南 |
ガンガゼはウニの仲間ですが、一般的に食用のウニよりもトゲが長く、20~30cmに達します。チクチクと尖っている、見るからに危険なヤツです……。漢字で「岩隠子」と書き、光が嫌いで岩の間に隠れることから名付けられました。アウトローですね……笑
ガンガゼは岩礁やサンゴ礁域に生息しており、シュノーケリングやダイビング中に遭遇することがあります。ウニに似ているから問題ないかなと油断して触らないように注意してください! トゲはもろくてすぐに折れるので、刺さるとなかなか抜けません。
たとえ、ウェットスーツやマリンシューズを身に着けていても貫通するので、要注意です。トゲは毒を持っているため痛みを伴う上、患部が腫れ上がり、症状も長引きます。
万が一、ガンガゼのトゲが刺さってしまったら、以下の応急処置を行ってください。
【ガンガゼに刺された場合の応急処置】
1.トゲが見える場合は取り除き、海水でよく洗い流す
2.40~45度のお湯に傷口を1時間から1時間半漬け、毒を中和させる
3.抗ヒスタミンやステロイド外用薬があれば傷口に塗る
4.病院を受診する
5.ウェットスーツやマリンシューズの上から刺された場合は、トゲが残っていないか確認する
トゲは自然に抜けないので、病院を受診して残っていないか診てもらうことをおすすめします。
【フジツボの仲間の基本情報】
分類 | ガンガゼ目ガンガゼ科 |
亜目名 | フジツボ亜目(Balanomorpha) |
英名 | barnacle |
大きさ | 数mm~10cm以上と幅広い |
生息地域 | 全国に分布 |
フジツボというと「船底にくっ付いて悪さをする生物」というイメージをお持ちの方が多いのではないでしょうか。実はフジツボは甲殻類に属しており、国内にはハナフジツボ、ミネフジツボ、イワフジツボなどさまざまな種類が生息しています。フジツボの名前は、富士山の形状によく似ていることから名付けられました。
海岸の岸壁や消波ブロックなど、世界中の海中の岩場に張り付いているので、海のレジャーで見かける機会は多いでしょう。
フジツボはここまで紹介してきた生物とは違い、毒性はありません。それなのにフジツボが「危険なヤツ」と呼ばれているのは、その鋭利な殻で手足をザックリと切ってしまう人がいるからです!
海のレジャーでは、シュノーケリングやダイビング中にフジツボに手足を引っかけてしまったり、磯で生物を観察しているときにつまずき、フジツボで切ってしまったりする事故が多いので注意してください。水の中では皮膚がふやけて柔らかくなっているので、普段よりも深く切れる傾向にあります。またフジツボの殻で皮膚を切ると、傷口が複雑な形になり、なかなか塞がらないのも厄介なところです。
さらに恐ろしいのは、海で傷を作ると雑菌が入り込みやすいという点です。放っておくと傷口が熱を持ち、感染症を引き起こす可能性もあります。必ず次の方法で応急処置をして、すぐに病院を受診しましょう。
【フジツボで切ってしまった場合の応急処置】
1.真水の流水で傷口をしっかりと洗い流す
2.出血が止まらない場合は清潔なタオルやガーゼを当てて圧迫する
3.感染症の可能性もあるので必ず消毒をし、病院を受診する
傷口が深い場合は縫合が必要になるので、すぐに病院で診てもらいましょう!
水族館へよく行く方にとっては身近な生物たちであっても、実際に遭遇すると危険なヤツらが存在します。海へお出かけしたときに遭遇したら、近寄らずに遠くから観て楽しみましょう。もし触ってしまったら、落ち着いて応急処置を施し、すぐに病院を受診してください。
危険な生き物に気を付けつつ、夏の海を存分に楽しんでくださいね!
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