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2023.06.23
投稿日:2023.06.23 更新日:2023.06.22
タコノマクラという生き物は、あまり知られていない存在です。ユニークな名前がついていますが、タコでも枕でもありません。面白いタコノマクラの生態や名前の由来をご紹介します。
目次
タコノマクラは丸い形をしているため、貝やイソギンチャクの仲間に思われやすいです。しかし、実はヒトデやウニの仲間で、棘皮(きょくひ)動物のウニ網、タコノマクラ目、タコノマクラ科という分類がされています。
有名なガンガゼやムラサキウニのような鋭い棘がないため、ウニの仲間だと聞くと驚く人も多いです。
タコノマクラの生息地域は、南日本(房総半島以南の本州、四国、九州沿岸など)です。水深が15m~30mくらいの岩場付近の砂底や砂泥が住処ですが、ウニらしく吸盤がある管足を持っているため、岩場に這い上がってくることもあります。
タコノマクラは、名前からイメージすると柔らかそうな生き物に感じます。しかし、実際は骨格が硬く、生きている時はザラザラしていますが、死んだ後の骨格はすべすべとした触り心地です。骨格の大きさは直径10㎝くらいで、手のひらサイズの生き物です。
その硬い骨格には、5枚の花びらのようなとても可愛い模様が入っています。人工的に描いたと思うような、とても整った模様です。
そんなタコノマクラの骨格は、生きているうちは海の生き物らしい色味をしていますが、骨格だけを漂白すると真っ白になります。漂泊しても花びらの模様は残るため、夏や海をモチーフにしたインテリアに活用されることもあります。
ウニやヒトデは、岩場や砂地にいる姿がよく見かけられます。タコノマクラもウニやヒトデの仲間ですが、基本的には砂や砂泥に潜って暮らす生き物です。不思議な生態や食べ物をみていきましょう。
ウニの仲間なのに棘が短いのは、潜る生態が関係しています。ガンガゼやムラサキウニのような鋭く長い棘は、砂の中の生活では邪魔になってしまうため、棘が短くなりました。
タコノマクラが潜りやすいように棘をなくした理由は、トウカムリという貝から身を守るためだといわれています。岩や砂地の上では、この貝に捕食されてしまうため、比較的安全な砂の下を選んだわけです。
ユニークで可愛いらしい見た目をしていますが、現在の形になった理由は必死で生き延びようと努力した結果です。
タコノマクラの口は、体の下側についています。海底に触れる部分についているこの口で砂や砂泥を含み、その中に含まれる微生き物やプランクトンの死骸、海藻などを主に食べています。
その見た目どおり素早く動ける生き物ではないため、積極的に捕食することはありません。のんびりマイペースに海の底で食事を楽しんでいます。
ウニといえばお寿司の高級ネタとして有名です。好物である人も多くいるでしょう。そんな人が気になるのは、タコノマクラの味かもしれません。
タコノマクラはその見た目から、和菓子のきんつばや饅頭介とも呼ばれています。おいしそうな名前が付いていると、さらに味が気になってしまいます。
しかし、タコノマクラの可食部はほとんどありません。骨格の中は、鍾乳洞のように柱がたくさんあり、身はほとんどないようです。少しだけある中身も、茹でると溶けてなくなってしまうため、ウニの仲間でも食用には向いていません。
タコノマクラという名前は、一度聞いたらなかなか忘れられないほどの珍名です。初めて聞いた人は、タコが枕を使って眠っている姿を想像したのではないでしょうか。そんな面白い名前ですが、由来は諸説あります。
タコノマクラが初めて発見されたときに、タコが上に乗っていたからという説や、タコがタコノマクラを使って姿を隠したという説が代表的です。他には、江戸時代ではヒトデの仲間をタコノマクラと既に呼んでいたようで、明治時代に生き物学者が特定の一種(現在のタコノマクラ)をタコノマクラと呼んだことから普及したともいわれています。
以上のように、タコノマクラの由来は、名前のとおりタコと関係している説がほとんどです。
タコノマクラは、関東以南の海に行くと見かける生き物です。花びらのような模様がある丸い骨格を持っていますが、ウニやヒトデの仲間でごく短い棘も持っています。初めて見た人は生き物にさえ見えないかもしれませんが、砂の中で頑張って生きている生き物です。
海や水族館で見かけたときは、可愛い花びらの模様やユニークな丸い姿をぜひ観察してみてください。
骨格は貝骨格やヒトデなどと一緒に、インテリアに加工されて売られていることもあります。もし姿が気に入ったら、加工されたアイテムでもタコノマクラの姿を楽しんでください。
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