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2021.03.18

スマホもOK! 水族館でのポートレート撮影テクを大公開!

投稿日:2021.03.18 更新日:2022.03.22

サンシャイン水族館のポスターを見てふと思ったんです。「私もこんな風に生き物の写真をかわいく撮りたい! 水族館で映える写真を撮りたい!」と。
「そんなコンテンツを一緒に作れませんか?」と、『いきも〜る』のタカハシさんに相談したところ……なんと! タイミング良く、『スタジオグラフィックス』さん主催の「サンシャイン水族館 貸し切り大撮影会2020」があるとのこと……!
これはチャンスと思い、私たち『いきふぉめ〜しょん編集部』のメンバーも参加させていただきました!

私たちが参加させていただいたのは、「水族館ポートレートコース」。サンシャイン水族館の映えスポットで、講師の写真家・清田大介さんにアドバイスをもらいながら、モデルの長澤佑香さん、早坂まりなさんを撮影していきます。
全4シーンの撮影の中で教えてもらった、水族館はもちろん、さまざまな場所でのポートレート撮影に使えるプロのテクニックを大公開!
細かいカメラの設定などは、デジタル一眼向けの内容になりますが、ライティングや構図については、スマホでの撮影でも活用できますので、ぜひ、カメラをお持ちでない方もチェックしてみてください。

ポートレート撮影で使用した機材

今回のポートレート撮影では、カメラは参加者それぞれが持参したものを、ライティングには「Phottix M200R RGB LED Light」を使用しています。またストロボは、1度も使用しませんでした。
「Phottix M200R RGB LED Light」は、スマートフォンサイズの小型LEDライトで、色温度の調整が可能なもの。今回の撮影では使用していませんが、赤や緑など、さまざま色にも対応しています。
撮影の際は、このライト1~3個を2つの三脚に取り付けて、ライティングをしていました。

撮影シーン1:サンシャインラグーン

まずは、サンシャイン水族館のメイン水槽「サンシャインラグーン」で撮影します。

被写体とライト、カメラマンの配置はこんな感じ

「サンシャインラグーン」は、水槽の縁に腰掛OKなので、基本的に座ったポーズで撮影。
上から見たときに、被写体を頂点とした三角形になるように、モデルさんの左右斜め前にLEDライトを設置します。高さは、顔と同じに。このようにライトを設置すると、顔に影ができないんです。カメラマンは、2つのライトの間から、被写体を狙います。

「サンシャインラグーン」のように、明るい水槽を背景にすると、どうしても被写体が暗く写ってしまいます。要は、逆光と同じ状態。
そこで、人物にLEDライトを当てて明るくし、水槽と人物の明るさの差を少なくすることで、水槽も人物もどちらもキレイに撮影することができます。
ポートフォリオの場合は、肌がキレイに見えることをポイントにライトの色温度を調整します。今回の設定は5600Kです。
また直接被写体にライトを当ててしまうと、合成っぽさがでてしまうため、少し角度を外してライトを当てるのがポイント。

カメラの設定ですが、ポートレート撮影では、背景無視で被写体にホワイトバランスを合わせます。今回は5600Kの光を当てているので、5600Kに設定。細かい指定ができない場合は、太陽光で設定します。
かなり明るい場所ですので、ISO800、シャッタースピードは、1/125程度でOK。
せっかく背景に生き物がたくさん泳いでいるので、背景をぼかしすぎるのはもったいないです。そのため、F値は4に設定します。
ここまでが、カメラ設定の参考値です。

ベストアングル。後ろのエイがもう少し上にいてくれたら…

撮影する際は、無理して被写体の全身を入れる必要はありません。足下は水槽の縁で絵にならないのと、今回はライトが小さく、光が当たらないからです。バストアップで撮影するか、もしどうしても全身を入れたいなら、水槽の縁で膝を抱えるように三角座りをしてもらうのが◎ 水槽の縁を靴の裏で汚したり、傷つけたりしないように注意しましょう。
背景の水槽が大きいので、縦で被写体の頭の上の方に空間をあけ、水槽を入れるのがおすすめ。下の白い砂浜よりも、水の青いグラデーションが入るように、少し下から見上げるようなアングルがベストです。
撮影することに一生懸命になりすぎると、周囲の観察を忘れがち。チラチラと水槽の生き物たちの様子をチェックして、特にエイやサメなど、インパクトのある生き物とコラボできるチャンスを逃さないようにしましょう。

長澤佑香さんかわいい……!

またポートレートの撮影中は、モデルさんに今どこを撮影しているかを口頭で伝えてあげたり、時々撮影の手を止めて写真を見せてあげたりするようにしましょう。そうすることで、表情やポーズを作りやすくなります。良い表情やポーズで撮れた時は、「いいね!」と声をかけてあげるのも忘れずに。恥ずかしがらず、プロのようにノリノリで撮影するのが、良いポートレート写真を撮るコツです。

撮影シーン2:海月空感「クラゲパノラマ」水槽

次は、サンシャイン水族館の新たな映えスポット海月空感へ。「クラゲパノラマ」水槽を背景に、「サンシャインラグーン」とは正反対の、雰囲気のあるポートレートを撮影します。

まずは、クラゲを撮影してみて……

ここはかなり暗いので、まずは、「クラゲパノラマ」のクラゲが撮影できるようにカメラを設定します。
参考値は、ISO2000、F2~2.8、シャッタースピード1/125。クラゲは意外と白飛びしやすいため、シャッタースピードはもっと遅くてもOKとのこと。F4、シャッタースピード1/20でも撮影できたそうです。
ちなみに、今回も被写体に5600Kの光を当てるため、背景は無視して、ホワイトバランスは5600Kか、太陽光のままにしておきます。
先ほどとは真逆の暗い空間ですが、ライトがあれば被写体を明るくできるので、ホワイトバランスに悩まなくて良くなるんです。逆にライトがないと本当に真っ暗なので、海月空感で映え写真を撮るなら、ライトは必須。ただし、人の少ない時間を選ぶ、短時間で撮影を終えるなど、必ず周囲の方に配慮して撮影するようにしてください。

被写体とライト、カメラマンと配置はこんな感じ。左側のライトは、画像より上にあります……

「クラゲパノラマ」は、水槽の縁が鏡面になっているため、腰掛NG。立ちポーズで撮影します。
今回も「サンシャインラグーン」と同じように、被写体を頂点とした三角形になるように、モデルさんの左右斜め前にLEDライトを設置するのですが、ここでは、左側のライトのみ高くして、被写体の斜め上から当てるようにします。
こうすると、顔の立体感や陰影が強調され、一気に雰囲気が。また上からライトを当てることで、被写体の髪の毛にツヤっと光が入るのも◎
自然な光になるように、必ず被写体から少し角度を外してライトを当てましょう。

ちょっと暗いですが、雰囲気がよく出ています

背景がほぼ同じ画なので、ここは、縦でも横でもOK。どちらかというと雰囲気写真に近くなるので、広角レンズで背景を広く撮るのも良いでしょう。より雰囲気を重視するなら、ホワイトバランスを5000Kくらいにして、肌を少し青っぽく撮るのもおすすめです。
またモデルさんにも笑顔ではなく、少し憂いを帯びた表情をしてもらいましょう。

この構図いい……!

正面からのカットも良いのですが、参加者の方の中に、とってもいい構図で撮影された方がいらっしゃったので、その写真を撮らせていただきました。
少し見えにくいのですが、足下から見上げる構図です。天井の鏡にもクラゲが映っていて、ものすごく大きな水槽の前で撮影している感じに。この構図いただきです。

撮影シーン3:海月空感「クラゲトンネル」

海月空感でもう1シーン。こちらも人気映えスポットの「クラゲトンネル」です。

被写体とライト、カメラマンの配置はこんな感じ

ここでポートレート撮影をする際ポイントは、ずばり被写体の立ち位置。
特にポートレート撮影の場合、ついつい被写体を明るいところに置いてしまいがちですが、ここは、水槽が真っ青なため、トンネルの中に被写体を置くと、肌が青くなってしまいます。雰囲気写真としては◎ですが、ポートレートとしてはイマイチ。
ではどこに立つかというと、「クラゲトンネル」をバックに、トンネル出入り口の天井が黒い部分に立ってもらうのです。なるべく、水槽と天井の境界ギリギリに。そして、先ほどの「クラゲパノラマ」と同じようにライトを立てます。
こうすることで被写体に青色が被らず、モデルさんも水槽もきれいなポートレート写真に仕上がるのです。

ここでのカメラ設定の参考値は、ISO3200、F4、シャッタースピード1/40。ホワイトバランスは引き続き、LEDと同じ5600Kか、太陽光のまま。

ちょっと人工物感ありですが、早坂まりなさんはかわいく撮れています

1つ注意点があるとすれば、モデルさんが立っているところの黒い天井や壁があまり入り込まないような構図で撮影すること。「クラゲトンネル」の雰囲気が無くなって、一気に人工物感が出てしまうからです。

ちなみに、「クラゲトンネル」の下に立つと……

ちなみに、雰囲気写真を撮影したいなら、「クラゲトンネル」の真下に被写体を置いて、真っ青に撮ってしまうのもあり。この場合は、潔く肌の色は諦めること。青は水を連想させるので、水族館っぽさがよく出ます。
またここは床まで青いので、足元などのパーツのカットも撮っておくといいとのこと。SNSで複数枚アップする際に、顔ばっかりだとつまらないでしょと。このワザもいただきです。

「クラゲパノラマ」の髪の毛のツヤもそうなのですが、暗い場所で撮影をするなら、特に女性は光を当てるとキラッと光るアクセサリーなどを身につけるのがおすすめです。顔の周辺がキラキラしていると、肌が美しく見えます。

撮影シーン4:マリンガーデンのイルミネーション

ラストは、マリンガーデンでイルミネーションをバックに撮影します。

被写体とライト、カメラマンの配置はこんな感じ

マリンガーデンは、木の床もおしゃれなので、ライトアップされた植え込みの前にしゃがんで撮影。
ここでは、LEDを足元のライトの色に合わせて、3200Kに設定しています。ライトの配置は、モデルさんに向かって右斜め前に2つ。右のライトは上から、左のライトは顔の高さです。

カメラの設定の参考値は、ISO1250、F2、1/100。イルミネーションの場合、ホワイトバランスをLEDに合わせるときれいに白くなってライティングしている感が出てしまうため、4500Kくらいに設定しておきます。
また、水槽とは異なり、背景をよりぼかした方が雰囲気が良くなるので、F値は下げ目がおすすめです。

構図は、全身もアップもどちらもかわいく撮れます。
あまりいいやり方ではないですが、寒い日なら、レンズに息を吹きかけて、ミストっぽい感じで撮影するのもありとのこと。

本当はここでラストだったのですが、途中でイルミネーションが消灯してしまったため、急遽もう1シーン追加に!

背景のボケ具合がいい感じ

ちょっと移動して、青っぽいライトのところでラストカットを撮影します。
ここでは、LEDを4500Kに設定。壁側に光源があるので、モデルさんに向かって右斜め前、顔の高さに1つだけ配置します。

すごくイルミネーション感があります……!

講師の方の撮影した写真を1枚撮らせていただきました。周囲は青っぽいですが、ライトのおかげで肌はきれい。イルミネーション感もバッチリ出ていて流石です…!

野外:F値2.5、ISO1600、露出0、ホワイトバランスオート

スマホの場合の設定はどうすればいい?

多くの方が、こう思っているはずです。デジタル一眼じゃなくて、スマホの場合はどうしたらいいの?と。本当は、このあたりのことも講師の津田さんにお聞きしたかったのですが、時間の関係で難しく……。
そこで、同行していた『いきふぉめ〜しょん』の写真担当に、今日のライティングや構図で、スマホで撮影する場合はどう設定したらいいかを聞いてみました。
基本的には、ポートレートモードで撮影すればOKとのこと。ただし、「サンシャインラグーン」や「クラゲパノラマ」など、背景の生き物もしっかりわかるように撮影したい場合は、少し被写体と水槽の距離を空けて通常モードで撮影する方が良いそう。
また、イルミネーションの撮影も、今回はライトがあるので、夜景モードではなく、ポートレートモードでOKとのことです。

水族館でのポートレート撮影はライトを味方に!

今回のポートレート撮影会で学んだのは、ライトが1つ2つあるだけで、イメージ通りの写真が比較的簡単に撮れるということ。被写体の明るさって、やっぱりとっても重要なんですね。
ストロボ発光禁止の施設も多いので、今回のライトを配置するテクは、さまざまなシーンでかなり使えそうです。

今回の撮影で使用していた「Phottix M200R RGB LED Light」は、15000円程度で購入できるので、写真をよく撮る、映え写真を撮りたいという方は、購入してみても良いかもしれません。
ちなみに担当は、撮影会終了時点でライトを購入することを決め、ここまで本格的なものではないですが、スマホ撮影用のライトを購入しました(笑)

特に水族館は、場所によって明るさが異なったり、背景になる水槽が明るいため、ポートレート撮影には難しい場所だそうですが、ぜひ、この記事でご紹介したテクを使って、チャレンジしてみてください!
その際は、施設のルールに従って、きちんと周囲の方に配慮しながら撮影してくださいね。

講師の清田大介さん、モデルのお二方、そして、参加者のみなさん、ありがとうございました!
「サンシャイン水族館 貸し切り大撮影会」は年に1回の恒例行事なので、気になった方は、ぜひ2021年の開催を楽しみに待っていてください!

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